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『我が子がギフティッドかもしれないと思ったら』その①

我が家は長男に続き、この冬次男が中学受験を経験しました。
次男の受験を終えて一番感じたことは、あたりまえのことですが、中学受験の学習ひとつとっても、その子それぞれの性質によって全然異なってくるということです。

次男については、成績推移だけをみますと、4年からの3年間を通して安定しており、運良く受験校全てに合格をいただくことができました。
しかしながら、本人の精神状態は安定していたとは言い難く、本人も家族も苦しい期間が続き、何度も撤退を考えました。

本人のことなので、あまり具体的には書けないのですが、学校や塾の先生だけでなく、多くの方に助けていただき、なんとか受験までたどり着いたというのが実際のところです。

専門家の助言を仰ぎつつ、私自身もいろいろ勉強しましたが、最も学ぶことが多かったのがこちらの2冊です。

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”ギフテッド”というと、言葉が一人歩きをしてしまい、”天才”・”神童”という印象を持たれている方もいらっしゃるのではないかと思います。
2019/8/28にNHKのクローズアップ現代で”知られざる天才”ギフテッドの素顔”というドキュメンタリーが報道されました。
”知られざる天才”と題名をつけてしまうことでかえって誤解が生じるようにも感じますが、登場されていた方はそう呼ぶのにふさわしい飛び抜けた才能がある方でした。こちらのドキュメンタリーではその秀でた才能の側面だけでなく”ギフテッドの9割が何らかの生きづらさを感じている”という言及もあり、生きづらさの側面にもフォーカスされていました。

番組で紹介されているような特別な才能を持つお子さんだけ”ギフテッド”と考えてしまうとかなり範囲が狭まってしまうと思います。実際は、こちらのドキュメンタリーの中でも「ギフテッドの条件はIQ130以上が目安で人口の2%程度、日本にも250万人以上いると言われている」という説明がありましたが、IQ130以上という条件はそれほど特別な基準ではなく、中学受験でいわゆる偏差値上位校に進まれるようなお子さんの中には該当するお子さんが多いのではないかという印象があります。

日本で子供のIQを知るには専門機関での検査が必要であり、多くの場合は、子供の発達や行動上何らかの問題がある場合に原因を調べるための一助として測定するということが多いのではないかと思います。

次男もまさしくそのような必要性から公共の専門機関で調べており、IQ130は超えています。
しかしながら、NHKの番組で紹介されていたお子さんのようなレベルの突出した才能はありません。

ただ、ご紹介した本の中での言及がある”生きづらさ”については、共通する部分があり、その点についての息子の理解と対応に非常に役立ちました。

上記に紹介しました『ギフティッドその誤診と重複診断』は米国のギフティッド研究で有名な研究者の方々が書かれたものの翻訳書です。専門的で詳細に渡っており、初めて目を通したときに、苦悩の中に光が見えた感じがして震えがくるほどでした。

内容は、ギフティッド児が「発達障害だけでなく精神疾患を主とする様々な疾患と誤診される」ことについての問題を提起し、豊富な事例を示しながらギフティッド児が様々な行動特徴によって、精神疾患と「誤診」される実情について詳細に記載されています。

例えば、ギフティッド児をもつ親は子供をADHDなのではないかと疑って専門家を受診するケースも多いようなのですが、「ギフティッドの行動特性とADHDの行動特性の識別」にも一節を割いて説明されています。ADHDだと誤診され、不要な投薬がされているケースも多く見受けられるそうです。(※ギフティッド児の中にも学習障害・識字障害・ADHDの子供がいて、その子供たちは2E(二重にエクセプショナル)と呼ばれています)

上記のもう一冊の本『我が子がギフティッドかもしれないと思ったら』の方も同じく翻訳ですが、親がどう考え接したらいいかというアドバイスに、より重点がおかれています。

こちらの本より「ギフテッド児の優れた特性と関連する潜在的な困難」として紹介されているギフティッド児の特性の表裏一体の問題について書かれている部分を引用させていただきます

優れた特性 潜在的な困難
新しい情報を素早く習得、記憶できる。 周囲のゆっくりしたペースをじれったく感じる。ルーティンやドリルを嫌う。基本的スキルの練習をしようとしないことがある。複雑すぎる概念をつくりだすことがある。
探究的姿勢、知的好奇心、内発的動機づけ、意味の探求欲が高い。 ばつの悪い質問をする。断固として譲らない。行き過ぎた興味関心。他の人にも自分と同じであることを求める。
概念化、抽象化、統合化の力がある。問題解決や知的活動を好む。 詳細を拒否したり除外する。練習やドリルをしようとしない。教え方に疑問を呈す。
因果関係を理解できる。 非論理的なもの(感情、しきたり、鵜呑みにしなければならないこと)をなかなか受け入れられない。
真実、公平さ、公正さを愛する なかなか現実的に考えられない。人道上の問題に悩む。
物や人を組織したり系統立てるのを好む。 複雑なルールや体系を作る。仕切り屋、無礼、傲慢に見えることがある。
語彙が豊富で言語力の上達が速い。高度な情報を広く知っている。 ことば巧みに状況から逃げたり避けようとすることがある。学校や同年齢の友達に退屈してしまう。周囲から「知ったかぶり」と思われてしまう。
クリティカルに考える。要求水準が高い。自己や他者をクリティカルに評価する。 周囲に厳しかったり不寛容である。落ち込んだり意気消沈したりすることがある。完璧主義的。
鋭い観察者。普通は思いつかないようなことを考えるのを好む。新しい経験を求める。 集中力が非常に高すぎる。騙されやすいことがある。
創造性が高く独創的。新しいやり方を好む。 計画を混乱させたり、すでに馴染みのあるものを受け入れようとしないことがある。周囲から変わり者、調和を乱すものと思われる。
強烈な集中力、興味関心のあることへの長時間の没頭。目標指向行動。粘り強さ。 邪魔されることをを嫌がる。興味あることに没頭している最中はすべきことや他の人が眼中に入らない。頑固だと思われる。
繊細で他者への共感性が高い。他者に受け入れられたいという思いが強い。 周囲からの批判や仲間からの拒絶に敏感。周囲にも自分と同じ価値観を期待する。成功と真価を求められることへの欲求。自分は異質だという感覚や疎外感を感じることがある。
エネルギーの高さ、敏捷さ、情熱。強烈な努力。 不活発な状態でのフラストレーション。情熱のあまりに人の計画を混乱させることがある。絶えず刺激が必要。多動と思われることがある。
自立心が強い。個人作業を好む。自分の力を信じている。 親や仲間からのアドバイスを拒否することがある。一般社会規範や慣例に従わないことがある。
多岐にわたる興味関心と能力。多才。 傲慢でまとまりがなく見える。時間が足りずフラストレーションを感じる。周囲は最後までやり遂げる力を求めることがある。
強烈なユーモアのセンス。 世の中の不合理が見える。ユーモアを仲間にわかってもらえないことがある。注目を得ようとして「クラスの道化師」になることがある。

※『我が子がギフティッドかもしれないと思ったら』より引用

息子たちの周囲にも”ギフティッド”の性質をもっているという印象があるお子さんは複数いらっしゃいますが、それは、”学校の成績が良い”というものとも必ずしも一致しません。
”画像記憶ができる”というようなわかりやすい突出した才能を持っていても、特に不便は感じてはいないというお子さんもいらっしゃいますし、一方で、本人や親御さんが何らかの辛さを感じている方もいらっしゃいます。

また、かならずしも”ギフティッドだから”というものでもなく、親の育て方や環境の問題もあるでしょう。最近話題になっていた「受験うつ」という場合もあると思います。

ただ、”ギフティッド”という脳の特性である可能性もあると知ることも子供を理解する一助になるのではないでしょうか。

次男は高学年になってから、国語の漢字練習や理科社会の基礎知識系教材について、あの手この手で親が工夫しても、頑として取り組もうとしませんでした。塾の教材である「漢字の要」や「コアプラス(理社の暗記教材)」「白地図」などの教材も、次男の分は新品状態で残っています。社会は塾の宿題をしたこともありません。見るだけでいいからとやらせようとする私と、絶対にやりたくないという次男との不毛なバトルが繰り広げられましたが、彼にとっては苦痛きわまりないことだったようです。

「テストで間違えてからそれだけ覚える」方式で受験までになんとか間に合ったようですが、私は「子供がやらないなら仕方がない」と思えるほど人間ができていなかったので、どうしてたった5分程度のことができないのだろうと感じていました。

相談に乗っていただいていた塾(サピックス)の先生によると、その先生が今までみてきた約2,000人の子供のうち、理社のコアプラスについて6年の夏休みになっても手を付けない子供が50人くらいいて、さらにそのうちの10人くらいは最後までやらなかったそうです。

次男のことで悩んでいたことは、コアプラスをやらない程度のことではないのですが、そのことについては詳細にはふれません。

ただ、上記の本から学んで実践してみたことを含め、状況が改善した点もあり、どなたかの助けになるかもしれないと思い、本のご紹介とともに、少し記録してみたいと思います。

長くなりましたので、次回に続きます。

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