お子さんに対して「算数が好きになってほしい」「算数が得意科目になってほしい」「せめて算数嫌いにならないでほしい」いろいろな思いがあるかと思います。
最近では、幼児期からの算数教育なども一部ではよく取り上げられていますよね。
我が家は長男がモンテッソーリ教育を導入している幼稚園に通っていたのですが、モンテッソーリ教育においても、幼児期からの算数教育というものが大事に考えられています。ただそれは決して何かのカリキュラムを無理やり押し付けるというものではなく、「子どもが自分の周りを取り巻く事柄について把握していくための抽象力、想像力、理解力、判断力を養うことを目的として、幼児が生活経験を通して漠然と親しんでいる数量に対して、その概念を体系的に獲得できる手助けをする」という位置づけでした。
計算ドリルなどをしたりする幼稚園・保育園もあるようですが、そういうことではなかったです。
息子達を見ていると、ある特定の一時期、ひたすらものを落とそうとしてみたり、丹念に種類わけしてみたりということがありました。モンテッソーリはそれを「敏感期」と名づけて、その時期にしか獲得できないものを完成させる手助けをするために各種教具を位置づけています。そこで把握した概念でもって、周囲を把握していくと考えると、時期を逃さないことは大事かもしれません。
私は子育てをスタートする時期に、モンテッソーリ教育に出会って大変感銘を受け、子供の敏感期について意識して子育てをしてきました。意識していたからといって、大したことをしていたわけではなく、また十分にできたかというとそうでもないのですが(汗)。
お友達ママから算数に関する相談をいただいたことも何度かありました。主に、年長さんや小1の段階で「どうも図形が弱いのだけど・・」とか、「数に弱い気がする」というようなことです。
私は専門家ではないので、偉そうなことは言えないのですが、特に、算数については、幼児期に基本的な算数の概念を理解しているかどうかというのはその後大事になってきているような気がします。
それは、計算ができるとかいうことではなく、数や量、比較といった概念を実体として理解できているかということです。
”敏感期”などというと難しく聞こえますが、要は自分の目と手、体で自分が満足するまで実体験を積んでいるかということなのだと思います。
例えば、我が子もそうでしたが、赤ちゃんの時期、細い隙間に何かをひたすら落としていたり、公園で棒や石を一生懸命集めたりしている時がありますよね。モンテッソーリによると、子供はその行為に没頭しながら、数・量・比較の概念を実体としてつかんでいくのだそうです。
それぞれの子供の中で理解した時に、次に進むという、その子その子に合わせたスピードでの理解、それを大人が促進するのではなくて、むしろ妨げないことが大事なのかもしれません。
小学校に上がるとどうしても全体のスピードに合わせていかなくてはいけなくなります。でも算数は積み上げていく学問なので、どこかでつまずいてしまうと、いつのまにか全く分からなくなっているということがあると思います。
そしてご相談をいただいたときに、紹介しているのがこちらの本です。こちらは子どもがまだ体得できていない数学の基本的な概念を確認するのにも最適だと思います。
1982年に刊行されてから、長年にわたり愛されているこちらの絵本。3才くらいから子どもと一緒に楽しめます。3冊組みの本ですが、安野光雅さんの丁寧でユーモラスな絵で、幼児期に獲得しておきたい、数学の土台が網羅されていると思います。
組み合わせの概念、順序や集合について、比較、一定の法則に従った原因と結果の概念、物体の抽象化、物質の幾何学的性質など、絵本を読み進めながら自然に触れることができます。
問題があって正解がある・・という問題集のようなものではありません。物事の見方や考え方の基本的な概念がわかりやすく説明されているため、子供にとっては「あ!」という気付きがある本です。
親が教えるのではなくて、子供が自分で「あ、そうか」と気がつくことができる本だと思います。
親と子で一緒に楽しめます。読み聞かせができる時期にじっくり楽しみたい絵本だと思います。お勧めです。